主にSpotifyの話

 最近、Spotifyの有料プランに加入しまして、色々とアプリ内で音楽を聴いています。もともと、こうした配信サービスにさして興味もなかったのですが、ふと興味本位で契約したところ、劇的に音楽リスナーとしての人生が変化しました。

 もともとは70年代の洋楽が好きであれこれ聞いていて、未だにJoni MitchellとかCarol Kingばっかり聞いていて、最近もEverly Brothersを聞いては「やっぱり、この頃が一番だな」と頷くぐらいの古いタイプのリスナーなので、Spotifyと出会うまでは最近の音楽事情とかほとんど知りませんでした。Suchmos? chomoshじゃなくて? と言った具合でした。

 とまあ、そんな感じの人間が今ではSign Magazineを読みながらYoutubeでMoses Sumneyやシャムキャッツを聞いたり、Twitterで音楽に詳しいアカウントをフォローして例えばNai Palmみたいなアーティストの情報を得たり、すっかり意識高い系リスナーになりつつある現状は我ながら少し恥ずかしく感じるぐらいです。

 ただ、今までだと何か新しい音楽を聴きたいと思っても、Youtubeで流行りの音楽を聴こうにも何がいいかよく分からないし、TSUTAYAタワレコの棚を見て気になったアルバムを視聴して借りるかもしくは買うみたいなスタイルは徐々に面倒になってきて、新譜にはまるで手を付けていませんでした。

 一方で、SpotifyだとバイラルTop50のようなランキングで何が今きてるのかを知ることもできるし、ニューリリースされたアルバムはいち早く聞けるのでわざわざTSUTAYAなどに行く必要も無くなりました。おかげで改めて音楽が多極化している現状に向き合えているし、インディーロックの分野でもまだまだ新しく刺激的なアーティストが山のようにいることも分かってきました。

 こうした変化はSpotifyのような配信サービスがあればこそですが、これは何も音楽に限らず、小説や映画にも言えることなのかなと思います。例えば、小説ならKindleスマホにインストールすればすぐに読みたい本が読めるし、出かけた先で暇な時間に海外ドラマが見たいと思えばNetflixが見れる。こうしたプラットフォームの変化は当然それを享受する読者や視聴者に影響を与えないわけがなく、必然的に今の流れを意識するようになります。つまり、触れる世界が広がっていく訳ですね。

 田中宗一郎氏がここで言っているように今ではTwitterなどで最新の情報が広まり共有されていく中で、昔のように実際にその場に行って見たり聴いたりする必然性は下がったと言わざるを得ません。映画館はそうした場として未だにありますが、これも5年、10年すれば状況は変わるでしょう。これが意味するのはデータとしてやりとり出来ないものは今後広まりにくいということです。なぜなら今では娯楽とは一瞬でアクセスできてすぐに見たり聴いたり出来るデータのことを指すからです。

 これはもちろん、アーティスト側にも大きな影響を及ぼす問題です。一方でそれを享受する側からするとまさに天国と言える状況です。だって、ついに家から一歩も出なくてもあらゆるコンテンツが目の前にある訳ですから。